アマチュアセロ弾きの雑記帳//チェロ大好き。日々の思いを綴ります。
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2011/05/28 (Sat) シュタルケル

シュタルケル
 自分の音楽家に対するイメージって、レコード会社や音楽メディアからの情報に大きく影響を受けていると思います。
 チェロを弾く前からチェリストには一定の「番付イメージ」がありました。カザルスは、相撲で言うなら双葉山的なイメージ。もう別格、神聖化って感じ。フォイアマンは玉錦でしょうか。そしてロストロポービッチとシュタルケルは栃錦と若乃花なんて感じかな。古いですね。
 そういえばここまで出て来た四人の共通点は「おつむの輝き」。名チェリストの条件でしょうか?
 さあ、本題のシュタルケルですが、なんといってもキャリアの初期に録音したコダーイの無伴奏チェロ組曲の印象が強烈でした。誰が言ったのかなあ、五味康祐先生も仰っていたと思いますが、「松脂が飛び散るような」という言葉で知られる名録音、名演奏です。1948年。LP初期、まさしくレコード全盛期が花開こうとする時代、黄金の「ザ・フィフティーズ」も間近な頃ですね。松脂が飛び散るというのはいささかオーバーかもしれませんが、実にパアフル、情熱、情念あふれる圧倒的な音と演奏です。恐らくは超近接マイクセッティングでの録音でしょう。本当にマイクに松脂が飛んでいたかもしれません。
 自分の場合、この録音でシュタルケルのイメージは決定づけられてしまいました。ものすごいパワーと技巧で聴き手を圧倒するイメージです。技巧よりも人間性、歌心で敬愛されていたカザルスとは対極の位置づけでした。そのエネルギッシュなイメージ、はげ上がった頭は同じハンガリー人のショルティと重なる者がありました。あの二人、もしかして親戚?ありえませんね。
 それはともかく、最近になって、便利な時代となり、You Tubeでシュタルケルの演奏を観ることができました。

 1988年7月来日当時、けっこう年齢が行ってからの演奏です。コダーイの録音からは40年後。その演奏姿は以前から持っていたイメージとは全く違いました。体がほとんど動かない。首が時たま動くくらいかな。拍子抜けする程に力が抜けた、実に静かな、当たり前過ぎる程当たり前にまっすぐに動くボウイングでした。
 こちらは同日になされたバッハの無伴奏チェロ組曲第3番。

 耳から聞こえる演奏の素晴らしさはもちろんですが、この力の抜けた理想的な姿は「眼福」でもあります。理想のイメージですね。

 もっと激しく体を動かしながら完璧な技巧とパワーで聴き手を圧倒すると思っていたのですが・・・更に最近の映像ではすっかりおじいちゃんになったシュタルケルのレッスン風景があります。

ここで時折弾いて聴かせている姿は、もっと力が抜けています。もう力んで右手も左手もガチガチになっている自分がどれほどおバカさんなのか、思い知らされます。
 これはどういうことなのでしょうか。コダーイを録音した1948年の頃と演奏フォームに何らかの変化があったのでしょうか。あの頃の若きシュタルケルは、もっとダイナミックな演奏姿だったのでしょうか?ちょっとわかりませんが、興味深いところです。
 録音した音はいつまでも変化なく残っていきます。それに対して生身の人間は年を取る訳です。当たり前のことですが・・・
 それから教育者としても長く活躍しているシュタルケルですから、自らの演奏についての研究もさぞかし熱心で精進したことでしょう。当然様々な変化、進歩があった事は容易に推察できます。
 あるレコード評論で、「シュタルケルは素敵に年を取った」という言葉を聞いた覚えがあります。この映像を見ると「そうなのだなあ」と思ったりします。
 チェロに限らず何の世界でも、精進し、その道を極めて行くと、余分な力が抜けて、ムダのない、理想的な姿が次第に完成していくのでしょう。
 ふと思い出したのは、東北のスキー場で滑っていたおじいちゃんの後ろ姿です。実に力の抜けたやわらかいフォームでした。昔々は「ゆきんこ」として雪と戯れ、自然にスキーを覚え、楽しみ、年月を重ねたであろうその姿に見とれました。
 考えてみれば、あの1948年録音のコダーイの録音ディレクターはピーター・バルトークでした。あの作曲家バルトークの息子でしたよね。シュタルケルを起用しての圧倒的な技巧とパワーで聴き手を圧倒する録音には、かなりピーター・バルトークの意図があるのではないでしょうか。当時本当に新鮮だった最先端の録音技術を駆使して、実演とは違った、レコード録音芸術、エンターテイメントを提供しよう。そんな強烈なエネルギーを感じます。レコード全盛期へと向かい活気あふれた時代とあの録音が今も伝える熱気とはつながっているように思えてなりません。ステキな時代です。
 シュタルケルはバッハの無伴奏チェロ組曲もコダーイの無伴奏チェロ組曲も年代別に複数の録音があります。それぞれじっくり聴いてステキな年の取り方を学びたいですね。

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